2026/06/06 10:58

有限会社一聡舎は、1990年4月に創業した小さな出版社です。

 創業者たちは当時、会社員として出版業界に身を置いていました。しかし、所属する組織の中では自分たちが本当に取り組みたい出版活動を実現することが難しいと感じ、会社員として働きながら一聡舎を立ち上げました。

 創業当初は、創業者の専門分野であった「育児書」や「女性の健康」に関する書籍を中心に、積極的な出版活動を行ってきました。創業時は東京都新宿区に事務所を構えていましたが、1998年に現在の東京都中野区へ移転しました。

 その後は、医学書、特に産婦人科・小児科分野の書籍も手がけるようになりました。2000年代前半には出版業界全体が活況を迎え、弊社も着実に業績を伸ばしていきました。

 一方で、インターネットの普及により、育児や健康に関する情報のオンライン化が急速に進み、関連書籍の需要は徐々に低下していきました。それに伴い、弊社も時代の変化に対応しながら、出版事業の規模や方向性を見直してきました。

 2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会全体で新たなコミュニケーション手段が求められるようになりました。そこで弊社は、オンライン配信や動画制作を担う部門「Tripodwise」を立ち上げました。

 当時はまだオンライン配信が現在ほど一般的ではありませんでしたが、大学、社会活動団体、労働・市民運動団体、企業、個人など多くの皆さまからご依頼をいただき、Tripodwiseは弊社の重要な事業の一つへと成長しました。

 2025年には、創業以来長らく代表を務めてきた創業者の一人が逝去し、二代目代表が就任しました。二代目代表は大学院において、ジェンダー、セクシュアリティ、フェミニズムを中心とする社会学、および東アジア地域研究(特に朝鮮半島と在日朝鮮人社会)を専門的に学び、社会運動の現場にも長く関わってきました。

 その経験と知見を生かし、新たに人文・社会科学分野の出版事業を立ち上げています。創業以来培ってきた育児・医療・女性の健康に関する出版の蓄積を大切にしながら、社会や文化、歴史、ジェンダー、地域研究などの新たな分野へと活動を広げています。

 現在では、出版事業とオンライン配信・動画事業の双方が、一聡舎の大切な柱となっています。

 さらに2026年4月からは、本社の全面改装を進め、イベントスペースとしても活用できる場づくりに取り組んでいます。出版、配信、動画制作に加え、多様な文化活動や交流の拠点として、新たな価値を創造していきたいと考えています。

 私たちはこれからも、小さな出版社だからこそできる挑戦を続けながら、人びとの知と経験をつなぎ、新たな対話と文化を生み出す活動に取り組んでまいります